前回アノマリーについての考察とそこから立てる戦略について書いた。
今回はアノマリーの戦略に加えられる、日本の個別株についての戦略を記載する。
この戦略は2023年2月中旬~2024年3月末の約1年間で、64.8%の利益が出ているので、ぜひ最後まで読んでいただきものにして頂きたい。
優待バリュー&グロース株戦略の概要
四季報のデータを基に、割安かつ成長が期待できて、さらに株主優待や配当金がもらえる銘柄を抽出。
さらに日経平均のアノマリーの観点から買う日と売る日を予め決めておく、1~6ヶ月程度の中期投資。
銘柄選びは年に2~3回で、あとはほったらかして決めた日に売却するだけなので、サラリーマン投資家に最適な戦略。
株主優待や配当が貰える権利確定日に向かっておよそ1か月半前から上昇傾向が強くなるので、そこに向けて仕込む。権利付き最終日の3営業日前あたりが最高値になりやすいので、そのタイミングで売却。
この時損失が出ていても損切する。
実践結果
この戦略の骨子は2021年に完成していて、その後実践しながら改善している状況。
なので若干今とスクリーニング条件は異なるが、2021年8月16日に購入、権利付き最終日の3~7営業日前で売買した結果を示す。

わずか1.5か月で、TOPIXが12.9%の上昇だったのに対し、抽出した7銘柄平均で23.6%の上昇となった。非常にいい成績と言えるのではないだろうか。
株主優待の権利確定月は何月が多いのか
そもそも株主優待の権利確定日ってどの月が多いのだろうか。下図に株主優待権利確定月別の企業数を示す。
出所:2024年3月時点の会社四季報ONLINEデータを基に筆者が作成
3月、9月、12月が多いことが分かる。この月って、メジャーSQも重なるし機関投資家の成績発表も重なるしで、前回の記事でご紹介したアノマリーを見てみると・・・。

やっぱりこの月末に向けての1.5か月間は上昇傾向になりやすいようだ。これが今回の戦略の狙いどころとなる根拠の一つである。
成長期待の優待バリュー銘柄抽出手法のご紹介
①銘柄選定時期と購入、売却時期について
この戦略は株主優待や配当による利回りが合わせて3%以上の銘柄の権利確定日に向けて株価が上昇しやすい傾向を利用する。そのため仕込みは権利確定日の1.5か月前。なぜならそれくらいから株価の値動きが大きくなるため。そして権利付き最終日の7~3日営業日前で利確(損切)する。
具体的な日付は
買付日:2/15、8/15、11/15
売却日:3/25、9/25、12/25
②銘柄スクリーニング手法の紹介
筆者が過去実績をもとに分析し、現時点で最適化したスクリーニングする条件はこちら。
・時価総額*00億円以下
・PERが20倍以下
・PBRが*倍以下
・営業CFがマイナスでない(2期連続で赤字ではない)
・自己資本比率が30%以上
・PSR(時価総額/売上高)が**倍以下
・有利子負債/現金が*以下
・横ばいまたは上昇トレンド
・予想営業利益が3期連続増益
・(優待利回り3%以上)
上に行くほど優先順位が高く、全てをクリアしていないとダメというわけではない。数字も目安なので、抽出銘柄数に応じて適宜変更する。
スクリーニング条件の観点を簡単に解説する。
時価総額:小さい方が長期視点で伸びしろがある。超有名企業がこの先10倍の株価になるのは想像しづらい。
PER、PBR、PSR:割安の目安。競合他社と比較したその業種業界の相場に対してどうかをみる。
営業CF、自己資本比率、有利子負債/現金:財務の安全度。
横ばいまたは上昇トレンド:直近1.5ヶ月で上昇する銘柄狙い
成長性を信じて1年間放置した結果
この戦略のいいところは成長が期待できる銘柄を抽出しているため、半年~1年ほど放置していても値崩れしにくいという点。今からおよそ1年前の2023年の2月時点で抽出した銘柄に対し、実取引は行っていないが1年間の株価について示す。

上記の通り、この手法でスクリーニングした14銘柄のうち13銘柄の株価が1年後に上昇している。
勝率驚異の92.8%だった。しかもその上昇率はなんと64.8%!!中には約3.8倍になった銘柄もある。
しかもこれ、決めた日に売買をした場合の結果であり、売買のタイミングでテクニカル分析を全くつかっていない。ほったらかし投資である。3月末権利確定日銘柄に対して12月末で売却は株価上昇率が小さいため9末で売却or翌年3末まで保有するのが良い
1.5か月で売却もヨシ、そのまま半年や1年間ほったらかしでもヨシ!
成長が期待できる銘柄を抽出するため、こういう戦略がとれる点がこの成長期待の優待バリュー戦略の最大の強みと言える。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。