昨今ニュースを賑わす金利について。FOMCって?FFレートって?株価とどういう関係があるの?という疑問から過去の傾向から分析した今後の経済危機の予測をしていく。
経済の循環と金利
アメリカのFRPがFOMCを開き、FF金利について発表されるニュースがたまに耳に入るが、それと株価となんの関係があるんだという方もいるかと思う。かくいう筆者もその一人だった。
だが経済の循環と結び付けて考えると意外と簡単に理解できる。

景気が良いと、収入が増えて物が売れるので、価格上昇(インフレ)が進み、それを抑制するために中央銀行が金利を上げるという仕組み。
逆に経済危機など景気が悪い時は、収入が減るため物が売れなくなって価格下落(デフレ)が進む。これを抑制するために中央銀行が金利を下げる。
金利と債券価格の関係
一般的に、金利が上がると債券が下がるとされているが、ここのイメージが掴みづらいので解説。
ポイントは「額面金額」、「市場価格」、「表面利率」の3点。
額面金額:債券の最低申し込み単位(≒発行価格)。満期時にはこの額が返還される
市場価格:発行済み債券の市場での取引価格。金利が上がるとこの市場価格が下がる。
表面利率:額面金額に対して支払われる利率。市中金利に連動して決まる。固定と変動がある。

債券Aが発行された時の金利が1.5%/年だったとする。時間が進み、債券Bが発行される時に金利が2%に上昇したとする。そうなると債券Aを持っているよりも債券Bを持っていた方がお得なので、債券Aを売って債券Bを購入したい。だが当然売れない。そうなると取引価格が下がるが、どこまで下がるかというと債券Bと同じ利回りになる75円まで理論上下がる。
つまり債券Bは年利2%なので、1枚100円で1500円分(15枚)持っていると1年後には
債券B:1500(元本)+100×2%×15(枚)=1530 円
となっている。一方債券Aは額面金額100円に対して年利1.5%なので1枚75円で同じく1500円分(20枚)持っていると
債券A:1500(元本)+100×1.5%×20(枚)=1530円
となり、同等価値となる。
金利と株価の関係
では金利が上昇すると株価への影響はどうなるか。
上の循環図にあるように、景気が良い時に政府は金利を少しづつ上げていく。景気が良いということは企業も業績向上、給料も増えて余裕資金がある状態なので、株価も上昇する。
金利が上昇し続けると、リスクの大きい株式投資よりも銀行などに預けた方が安全で十分儲けられると考えて株式市場から資金が流出するため株価が下落する。
逆にお金を借りる側は金利が高いと借りづらくなるため、支出も減りデフレへと繋がる。

上図は米国S&P500指標とFederal Funds レートを比較したものである。(S&P500は対数軸表示)
既述の通り、経済危機の時に金利が下げられていることが分かる。
では、現在のFFレートはどうかと言うと5%を超えてリーマンショック直前の値に近い。
また経済危機の直前のFFレートを見ると、しばらくフラットになってから株価の大幅下落という順になっていることが分かる。その点で見ても現在はフラットになっていて、いつ次の経済危機が来てもおかしくない状況だと言える。
イールドカーブ
ではあとどのくらいで経済危機がやってくるのか。過去の経済危機の局面から予測してみる。
ここでイールドカーブについて触れる。
イールドカーブとは利回り曲線とも呼ばれ、一定数の債券について、満期までの利回りと満期までの期間の関係を示す折れ線グラフのことで、横軸を残存期間とした時に通常は右肩上がりとなっている。
反対に短期の金利の方が長期の金利よりも高くなると、借り入れコストが上昇し、企業の設備投資や個人消費が縮小し、景気後退の可能性が高まる。
過去の経済危機から予測する次の経済危機

上図に過去の経済危機時の逆イールド発生~経済危機までの期間を記載した。なおここでは10年金利-2年金利(T10Y2Y)<0の状態を逆イールドとした。
こうして過去の傾向を読み解くと、逆イールド発生から約2.5年で株価暴落が発生している。
ただしコロナショックはきっかけが経済活動によるものではなかったために、イールドカーブとの関連性がなかったものだと考えられるが、この時の逆イールド発生から約2.5年後に大きく株価を下げている。
では現在はどうか。下図に示す。

2022年4月に逆イールド発生しており、すでに2年以上が経っている状態。
これまでの経験からすると、2024年末~2025年頭あたりで経済危機に陥る可能性が高いと予想できる。11/5には大統領選挙を控え、アノマリーの観点からも11月頭や年末は下落しやすい傾向にあるので、注意が必要だと考える。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。